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大崩壊の後の世界(女神大陸1話)

category - 女神大陸(小説)
2015/ 08/ 22
                 
「・・・さん!」

「ユミさん!ちょっと待ってちょ!」

「!」

私は振り向くのね、オーバーにわざとらしくスマイル。

「あら?」

下校の初めの一歩、校門の外の階段を降りるの。このクソ長い白い石の階段は細くて急で入り組んでて。足を踏み外したら、あの世行きねきっと。周りは赤色と青色の屋根だらけ。海岸の岸壁に民家が密集。
ぐっと黒のローファー革靴(お高いのよ?)を踏ん張る。
後ろの階段上部には、いつもの子ザルが居る。

「ユミさん!何でいつも給食袋を置いてくんですかっ?」

「!」

「サダコさん!恥ずかしいから大声出さないでよ!」
「まるで私が給食が嫌いな女子だと思われるじゃないの!」

「・・・え、給食好きなの?」

ばしゅん!

「もがもがもがっ!」

来た道を引き返す。子ザルの口を封印する私。

「あなた何考えてるのよ!」

そうなのですよ。この上に鎮座する学校には給食があるの。給食制度と呼ぶのだそうですよ。

「うんうん!」

「おわかり?サダコさん」

「んんんん!」

ばっ!

「ひいぃひぃ・・・」

今のタイミングの制服は春服のブレザー、赤と白と黒の。
白いワイシャツに緑ネクタイ。
はっきり言ってお嬢様ですね。

・・・でもユミは貧乏なの。
親が無理して市立学校に入れてくれました。
かなり下にある海岸の海が青くて綺麗。潮の香りは、今はいい匂いだけど。臭い日もあるのね。
皆で海鳥を取って食べようとユミが提案したら。
クラス中でバカ笑いされてしまったわ。
先生さまは、やはりバカ笑い。

「でもね、ユミさん。あなたのアイデア理論には」
「皆が憧れますよ?」

「えっへっへっへ」

そうなのですよ。
私には輝かしい栄光の実績がありンス。

例えば、

「あなたが提案した、公式制服改変・投票制度」
「季節ごとの衣替えに伴うデザインやタイプの変換を」
「全校投票で決めるシステムは素晴らしいです」
「問題の予算赤字埋め合わせを、積金、貯蓄の割り当て」
「レンタル化、及び手作り補修」
「つまり洋服デザイナーとしての実習も兼ねるユミさんの案は」

「画一化した現代にケンカを売っています」

「あっはっはははは!!」

クラスでバカ受け状態。私はヒーローだわさ。いやヒロインと言うのかしら。
女子高でないのよ、男子も居ますね。少し少ない。
学業よりも文武両道よりも。

人を育てる。

人間力が優れる人に成れよこのガキ!

という教育方針。


知っていますか?

かつてこの大陸では、人が争っていたのですよ。道具を持って傷つけ合い、血と涙と下半身液を流したのです。嘘みたいな話ですが、事実だそうです。
ユミは授業で教えられます。

何かに敵意を持つ自分こそが、敵なのだと。

モノの金持ちが、心の金持ちを支配していたそうです。
自然に帰らなかった罰を人は受けたのだそうですよ。
大きな大めいわく合戦で多くの人が死に絶えました。
何百年もかけて、人は立ち直りました。
抱きあう心を取り戻そうと、愛を求めて生きる事を信じました。
贅沢から離れて、シンプルな生活も取り入れましたの。

でも、それも進化と呼べるのだそうです。

科学テクノロジーが進化しても、人の心は退化しましたわ。
まるで鏡ですよ。


熱いトークはここらへんにして。

いま、ユミがハマってる。合体たい焼きの店にGOですよ。
え、知らないの?こんなに美味いのに。まあまあ、嘘なら食べてから殺しても良いですよ?
お金は自腹ですよモチ。モチと言う、いにしえの郷土料理も食べてみたいです。


ぴろんりん♪

「おじさん!合体ひとつ下さい!」

「はいよ、ユミちゃんはマジメなたい焼き娘だねえ」

「何ですか、そのギャグは?」
「あ、無言で子ザルがついてきたのね」

「ひっどいですう!サダコは子ザルじゃありません!」
「プンスカプンスカ!」

「あははっは!・・女の子は粋が良いねえ」

「はい!専売特許ですから!!」



むしゃむしゃむしゃ

崖っぷちの高所の岩に座って、潮風を浴びながら海を眺める。
合体たい焼きをほお張りながら。
スカートが汚れちゃったよ。

「ねえ、サダコさん」

「何ですかユミさん?今アンコをホジッてるから忙しいんです」

「・・・うーん、なんか」
「うみ?」
「なんかが脳に近づいてます、ユミの発案はいつもそうなの」

「ああ、ユミさんのアイデアは黄金大陸なんですって」
「先生方が言います」

「なんだ、認めてくださるのね」

むしゃむしゃむしゃ

んぐんぐんぐ

「!」

びゅんっ!

ばちっ!

「アエ~ッ!」


「チョット何してんですか!ユミさん!」
「石ぶつけて海鳥を殺しましたね?」

「うん、食べようと思ったのです」

「知らないんですか?」
「それは暴力という行動ですよ?」

「え、そうなの?」
「な、なんてことをユミは・・・」

「今なら誰も見てませんよユミさん」
「早く墜落現場へ行きましょう!」

「ええ、そうでゴザルね」


海岸の海辺に浮かんでる、撃墜した海鳥は・・・・あれ?

「海鳥が生きてるよ?子ザルさん」

「早く回収して逃げなきゃ、手伝いますから」


大怪我をした白い海鳥をマイ自宅に持ち換える私。
とりあえず、赤チンキを塗って包帯ぐるぐる巻き。

「うーん、ミイラって言うのねこれ」
「でも生きててくれて良かったです」
「ごめんなさい、鳥さん」
「ユミがバカなサルでした」

抱きしめて眠りにつく。

ベッドの布団の中はユミの鳴き声で充満。
パジャマのユミは、寝る気です。

「トリさん、トリさん」
「ユミを食べてもいいですよ?」


まだ夕方ですよ。
家族はまだ帰ってませんの。

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