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人間水族館

category - ショート小説
2015/ 09/ 20
                 
「ねえねえお母さん」
「あの人間の親子が今日も来てるよ?」

「あら本当」
「入館料は安いけど」
「きっと仕事がなくて暇なのね」

「お母さん、仕事って何?」

「エサを食べるために汗を流すことよ」
「カネ、て言うガラクタを貰うの」

「ふ~ん」

「ほらほら、あたし達を指さして何か言ってるわよ?」
「きっと、あたしたちのウロコに見とれてるのね」

「そ~かなあ、僕は、あいつウマそう!て言ってると思うよ?」

「ボク、そんなことよりも。おババ様が呼んでいたわよ」

「え、あの人まだ生きてるの?」

「何言ってるのこの子は」
「あの方は死ぬことはありません」
「苦しみ、血を流すことを喜んで受け入れる方ですから」

「はい」


・・・・・・・・・


「お久しぶりです、ババ様」

「おお、サンテ」
「あなたですか」

「僕をお呼びですか?」

「ええ、今がいい時期です」
「まだ若いあなたに、大切なことを教えねばなりません」

「はい」

「・・・・サンテは、この我ら魚を見せ物にする人間が」
「なぜ縛られた動物なのかを、知っていますか?」

「う~ん、僕は知りません」
「人間は縛れているんですか?」

「ええ、がんじがらめにされています」

「僕には見えません」

「ええ、だから彼らにも見えないのです」

「何でなの?」

「人間は太古の季節より」
「少しだけ他の動物よりも、脳が開放されていました」
「だから、道具というガラクタを使って」
「この、地上を支配したのです」
「すべての生き物を食います」

「はい、僕も知っています」
「人間は、生き物で快感を作るそうです」

「よく勉強していますね、サンテ」
「サンテは知っていますか?」
「人間は、敵意で同じ仲間を殺します」

「え、そ~なの?」
「みんなニコニコしてるよ?」

「ここに来る人間はそうですが」
「本当は・・・腹、と言う顔があるのです」

「お腹にも顔がついてるの?」

「それが人間が縛られている理由のひとつです」
「快感という欲望を覚えた人間は」
「気持ち良いのが辞められなくなり、罪を繰り返し」
「罪を重ねて、その重さに気がつくことも出来なくなりました」

「へえ、じゃあ僕たちは人間のために死ぬの?」

「サンテは見ぬくことが出来るのですね」
「私達生物は、人間のために。そして人間とともに死にます」
「その心は何だと想いますか」

「わかりません」

「愛、と言う本能です」

「アイ?」

「食って寝て犯す」
「本能はこの他に」
「愛する、と言う生きるよりも死ぬよりも大切なものがあります」

「へえ・・・よくわかりません」

「ええ、サンテは知らなくて当然です」
「人間だって知らないのが普通ですから」

「あ、でも人間が縛られてるのが何となく判ります」
「人間のいやらしい顔が僕の脳の中で見えます」

「・・・・すみません。サンテ」
「少し疲れました」

「はい、おやすみなさい。ババ様」



「あ、ボク。どうだった?おババ様のお話は」

「うん。人間でも知らないことを教えてくれたよ?」
「人間は縛られている、悲しい生き物だったんだね」

「・・・まあ、ボクも成長できたのね」
「じゃあ今日はお祝いに、貯めておいたミミズをあげますよ?」

「わ~い!」
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